”天下不武”
時代の変革期には天才が現れる。まさに信長は戦国に突如登場した革命者であった。小国尾張に生を受け、周囲を敵に囲まれて育った。
だからこそ他のだれもが無し得なかった因習を打ち破り、日本統一という具体像を人々の目の前に指し示すことができた。
織田信長の登場は、日本史上 中世から近世への大きな転換点であり、その強力なリーダーシップは、
四百年以上時を経てなお、現代人を惹き付けてやまない。変化が激しい現代を変革の時代と呼ぶならば、まさしく信長こそ、
今求められるリーダー像といえるのではないか。
軍師を持たず、自らを貫き通し稲妻のように生きた信長の思想や意志までも感じられるような彫刻作品をつくる――本作はそのような
思いから15年にしてたどり付いた、頂点の作品である。
史上初めての南蛮具足での信長像の再現。
完全な状態で現存するものが極めて少ない南蛮胴具足を着用した織田信長像を、甲冑装束の時代考証を経て、
極めて精巧につくりあげた、かつてない武将彫刻作品です。
『南蛮胴具足』とは戦国期にヨーロッパより伝来した西欧鎧と、日本伝来の鎧を組み合わせた機能的な鎧一式のこと。
外国から伝来した鎧は板金技術が発達しており、鉄砲に対する防御機能が日本のもの以上に優れていました。
その希少性もあり南蛮胴を身に着けることができたのは、特に高い位の戦国大名だけに限られました。
信長は西欧のものを伝えた外国人と積極的に交流し、鉄板張りの軍艦や大砲など新しい技術を取り入れました。
鉄砲収集と合理主義で戦国乱世の日本を統一し、近世国家への道を開こうとした人物です。
他の誰よりも早く日本を近世へ導こうとした信長を再現するのに、新しい風を感じさせる南蛮胴具足はまさに相応しいものといえます。
細やかなエッチングが施された胴鎧と兜は西欧の鎧らしく、シャープな造形と磨き上げられた金属の質感を忠実に再現しています。
そしてその手に握られるのは、からくり部分まで精巧に再現された“火縄銃”。
信長は銃の扱いも優れていました。そして仮に戦場で自ら銃を使用する際にも相手よりも高所から、
射程の長いこのような特殊な銃を使用することで、万が一のリスクを避けていたと考えて再現させています。
南蛮胴具足を着用させた理由。
この南蛮具足は長年信長の甲冑を研究する過程で23年前に徳川家康所蔵とされる南蛮具足を全て各所で見た際に、
最も造形的に優れていると思ったものがなぜか『試し撃ち』の凹み跡が複数あることに疑問を感じて、
『当時最高級品で貴重であった南蛮具足をなぜ家康はこのような扱いにしたのか?』という疑問から仮説をスタートしています。
そこで、『これらの家康所用の南蛮具足は信長のものではないか!』という仮説が浮かび
『積年の信長への不満が信長から下賜された南蛮胴の試し撃ちにつながったのではないか』
という結論を導きました。
正室や期待していた長男を信長のために失い、戦国最強といわれた武田の軍勢の防波堤扱いされたことに対する不満や不信は
常に家康の中にあり、信長死後下賜された南蛮具足にその恨みを込めて試し撃ちにしたという仮説です。
これにより、史上初めて完全な南蛮具足による信長像が完成しました。
従来の信長像は旧式の伝統的甲冑を着用した表現でしたが作家・海野宗伯が完全な南蛮具足の信長像をマント付きで再現してから徐々に信長の甲冑イメージが変わり、今では誰もがイメージする『新たな信長像:現代での定番』になったといえます。
本作品を制作した作家の想い。
作家・海野 宗伯(うんの そうはく)は有名武将の甲冑の大半が失われ、実像が分からなくなっていることに危機感を覚え、
安土桃山の造形美を後世へ残すため研究と創作を開始しました。
30年以上にわたり戦国大名と戦国美術の研究を行い、戦国期の鎧の研究をもとに、出来うる限り正確に甲冑装束の出で立ちを再現した彫像を制作しています。
―日本の鎧をまとった武将たちの姿を後世に伝える
日本の鎧は大名ごとに他の国にない独自の美しさと機能性を兼ね備え、防具以上の精神性を伴っています。
日本の武将たちは己の信条や美意識を独特な形状の兜、また黒・赤・金といった華やかな色で表現し、
まさに華々しく死ぬための装束として戦場に臨んでいました。
目立つ装束で戦場に挑むのは、死を恐れず、戦場で見事に死ぬことこそ
本懐であると考える日本独自の武士の死生観に対する美学を反映しています。
生殺与奪―、すべてを決める権限をもち、自ら道を切り拓き、国をつくった戦国時代の大名たち。
大名たちがどのような姿かたちで戦国を生き抜いたのか、その臨場感に溢れる姿を
正確な考証と優れた造形美表現で再現しています。
甲冑師による甲冑・装束の制作監修。
信長の南蛮具足は現存するものがないことから、資料考証と再現には、戦国期の鎧について
第一人者であり甲冑師の三浦公法氏(甲冑武具保存協会顧問)のご協力をいただきました。
本像をつくるにあたり、本物の鎧を1/4サイズでつくる事業をおこない、
詳細な資料をつくりあげ作品に活かしております。
その過程で制作された鎧とこの取り組みは日本国内において大きく評価され、
平成13年には政府による経営革新事業に認定されました。
【展示実績:第10回信長学フォーラム -信長公と天下布武-】 平成29年2月25日(土) / 場所:岐阜じゅうろくプラザ 平成20年より岐阜市主催で開催される、「信長公」をテーマに基調講演や パネルディスカッション等を行うシンポジウム。 毎年多くの方が訪れるイベントです。 織田信長公の岐阜入城・岐阜命名450年記念した協賛事業会場にて、 海野宗伯作・武将像3作品を協力出品いたしました。 講演を行われた、小和田哲男氏(文学博士・静岡大名誉教授)に 本作品をを寄贈させていただきました。 小和田先生のオフィスに「南蛮胴具足 織田信長武将像」が飾られています。 |
©KENSIN
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【製品仕様】
工房制作品 限定制作50体(シリアルナンバー入り)
※在庫残り僅か※ 現在、限定で2体のみを販売しております。
販売価格: 400,000円(税別)
サイズ : 約幅21×奥行33×高45(cm)
素材 : ポリストーン(一部金属、ポリウレタン、特殊樹脂、ウッドチップ、紐)
重量 : 約4kg
付属品 : 専用化粧箱、立札「銘 南蛮甲冑 織田信長公」(約縦12×幅4.5cm)
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